Black Butler's Novel


































































































「 
契約の果てに。」

 by imagashun



■私なりの妄想エンディングですので…ご注意下さい■















僕の復讐は全て終わり、僕の望みは叶った。

なのに…

この「虚しさ」は一体

何だと言うんだ…。

まぁ…いい…
もうそれを考えている時間はない。
全てが今日で終る。

そう…
まもなく…


アイツが来る…


契約を完了しに…

僕の魂を奪いに…。

ほら…僕の後ろから黒い影が迫ってくる。

少しずつ…
少しずつ…

不敵な微笑みを浮かべながら。

黒い影が自分の背後に到達した時、
シエルは振り返り、そのモノの顔を見据えた。
その眼差しは自分の最期を固く決意した光を放ってい た。

「さぁ…約束だ…僕の魂を持っていけ!」

契約者の手がシエルの胸元に延びる。
その掌を彼の胸に当てながら紅い瞳がシエルの顔を見据 える。
シエルは胸に掌を当たられた瞬間、緊張で身体に震えが 駆け巡った。

「どうした?ここにきて、恐くなったか?」

そう言いながら黒い影の主はニンマリと唇の裾をめくり 上げた。

「馬鹿を言うな!さっさと持っていけ!!」

シエルはグッと目を瞑り、魂を抜かれる恐怖に構えた。

 僕の魂は…コイツのモノになる…
 もう…何もない…
 失うモノも…
 後悔するモノも…
 何も……無い…


突然、黒い影の主はシエルの胸に当てた掌をスッと下 ろした。
その感覚にシエルはハッと目を見開いた。

「何をしているっ!さっさと…!」
「今のお前の魂は…取るに値せぬ。」
「なっ!」
「契約を望んでいた時のお前の魂は、汚れ…憎悪と復讐の念で満ち溢れ
 素晴らしき闇の輝きを放ち、この私を魅了した。
 だが…今のお前の魂はどうだ?
 汚れどころか…何の輝きも放ちもせぬ…
 その様な<くだらぬ魂>など…この私にはいらぬ。」

黒い影の主は眉間にシワを寄せ、腕を組み、見下した表情をして白けた空気を漂わせた。
プライドの高いシエルはその言葉に噛み付く。

「くっ、くだらぬ魂だとっ!」
「そんなモノを喰らえば、消化不良を起すだけだ。」
「では、契約はどうするっ?僕の魂が…お前の望みではなかったのか!?」
「契約は……」

僅かな間にシエルの咽喉が緊張でゴクリと鳴る。


「破棄する。」
「なっ!…破、破棄だとっ!今更何をっ!!」

予想もしていなかった展開にシエルは目を白黒させた。

「心配せずとも良い…破棄といっても、これまで行ってきた事を白紙にする気はない。
 お主の望みは叶ったままにしておいてやろう。」
「だったら、この契約は何だったんだ!?お前の望みは?
報酬は無しでいいというのかっ!?善良な悪魔でも気取るつもりかっ!?」

自分が有利な立場になった筈が、それを納得できずにいるシエルがいた。

「善良な悪魔?はははっ!面白い事を言うな。残念だが絶対に有り得ぬ言葉だ。
 しかし、お前の望みだけを叶えて、生かしてやろうというのに…
 私へ何らかの報酬を与えないと不満の様だな…シエル・ファントムハイヴ?」
「<くだらない魂>だと貴様に言われて気に食わないだけだっ!」
「全く…プライドの高い方だ。」

脅威な存在がふと自分の見慣れた表情を浮かべ、シエルはドキッとした。
自分の執事だった時に見せたあの表情に…。

「今の私は…お前の魂よりも…
 シエル・ファントムハイヴ…お前自身に興味がある。
 私に報酬を与える気があるのなら…選択するがよい。」
「選択?」
「破棄という形でこのまま契約を終了するか…
 それとも…契約の内容を変更するか…」
「契約の変更!?」

再び訪れた新たなる展開にシエルの頭は混乱し始めていた。
同時に、この黒い影の主の提案で心にほんの少し光が灯った。

「お主の魂の代わりに、 この私を再び執事としてお前に使わせる。」
「また僕の執事としてだと!?」
「悪い話ではなかろう?
 それに…どう足掻いても私の様な完璧な執事は何処にも存在はしまい。」
「契約の期限は?」
「さぁ…私がお前に飽きるまで…だな。私を飽きさせなければ………」

その紅い瞳に見据えられ、シエルはゴクリと再び息を飲んだ。

「お前の最期まで……傍にいよう。
 さぁ、どうする?
シエル・ファントムハイヴ?」

黒い影の主はそう言いながら、不敵な笑みを浮かべた。

 ここで契約を終れば…
 僕は…闇の影から解放され、自由になれる。
 そして…
 コイツは…
僕の傍から居なくなる…

 居なくなる……

 永久に……。 


 僕は…

 僕は……………


 …………………

 そんなの………

 ………………

 嫌だっ!


シエルが自分の本当の心に気付くと同時に、目の前の黒いモノが再び問いかける。

「さぁ、決断したまえ、シエル・ファントムハイヴ!」
「僕は……」

俯いていた顔を少しずつ上げながら、答え出したシエルは
深く深呼吸を一つし終えると、すっと顔を上げその青い瞳に力が篭る。

「シエル・ファントムハイヴは……」

その決断の言葉を聞く紅の瞳にも力が篭る。
そして…決断を下すが如く、シエルの腕がスッと黒いモノに向けられる。

「お前に再び名を与える!
 
お前の名は…

 セバスチャン・ミカエリス!」
 
目の前の黒いモノは、シエルの洗礼を受けると共に
その姿は…黒い燕尾服に包まれ、シエルの求める在りし日の執事の姿へと変貌し、主人の前に跪ずく。

「そして、お前に命じる!
 我が全てをお前に与える代わりに
 僕のこの身が滅びるまで…
 一生僕の傍に居ろ!
セバスチャン!」

その言葉は…シエルの命令でもあり、また彼の告白でもあった。
そして…長い間…
忘れていた…モノ…。
忘れようとしていた…モノ…が、
今、シエルに蘇る。

主人から名を与えられしモノは…左胸に掌を当てながら答えた。

「イエス、マイ ロード。
 我が永遠なる忠誠を…
ぼっちゃん…

貴方に…。」

その見上げた紅の瞳の前には…
小さき主人が
心からの笑みを浮かべていた。



fin






黒モノ初SSです。

私なりのセバシエ・エンディングをいってしまいました。
いっちょ、甘いところ〜と思ったりもしたんですが…
無理でした(苦笑)
どうしてか…黒では甘いところまでいけないんですよね〜
相手が若すぎるからか……(笑)
でも、ラストは幸せであって欲しい〜〜という願い一杯込めてます(^^)
ヘボヘボ文章能力で…誠に申し訳ございません。。。

2009.03.19  imagashun  
























































































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